労務管理事例集

労基法その他労働法

労働時間や割増賃金を計算する際の端数処理についての決まりはあるのでしょうか。

 労働時間や時間外手当、深夜手当などの割増賃金を計算する過程においては、時間数、割増賃金額で端数が生じる可能性があります。それぞれの端数処理については通達にて示されています。

 ① 労働時間については、以下の取り扱いが示されています。


「1カ月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合は、30分未満

 の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること」


(例)時間外労働の1カ月の合計 10時間29分 ⇒ 10時間(○)

                 10時間30分 ⇒ 11時間(○)となります。

この端数処理については1カ月の合計であり、1日ごとの時間外労働、休日労働、深夜労働については端数の切り捨ては認められません。


 ② 割増賃金の計算過程については、以下の取り扱いが示されています。

(1)「1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を

    1円に切り上げること」


 (例)1時間当たりの割増賃金額(単価) 1,234.4円 ⇒ 1,234円 

    1時間当たりの割増賃金額(単価) 1,234.5円 ⇒ 1,235円


(2)「1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、50銭

    未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること」


 (例)1カ月の割増賃金の総額 12,345.4円 ⇒ 12,345円

    1カ月の割増賃金の総額 12,345.5円 ⇒ 12,346円


端数処理はあくまでも事務簡便のため例外的に許されるため、下記のような取扱いでも問題ありません。

 ・端数処理をせず、そのまま計算すること、

 ・途中の計算過程においては端数処理をせず、最終的な1カ月の割増賃金の総額を②(2)の端数処理をすること

 ・端数を切り上げること

2024年1月17日 社会保険労務士 堀 良司

(昭和63年3月14日)(基発150号)

賃金計算において、労働時間・賃金額に端数を生じた場合の取扱い(労働基準法第24条関係)

賃金の計算において生じる労働時間、賃金額の端数の取扱いについては次のように取り扱われたい。

一 遅刻、早退、欠勤等の時間の端数処理

 5分の遅刻を30分の遅刻として賃金カットをするというような処理は、労働の提供のなかった限度を超えるカット(25分についてのカット)について、賃金の全額払の原則に反し、違法である。なお、このような取扱いを就業規則に定める減給の制裁として、法第91条の制限内で行う場合には、全額払の原則には反しないものである。

二 割増賃金計算における端数処理

 次の方法は、常に労働者の不利となるものではなく、事務簡便を目的としたものと認められるから、法第24条及び第37条違反としては取り扱わない。

(一) 1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。

(二) 1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。

(三) 1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、(二)と同様に処理すること。

三 1か月の賃金支払額における端数処理

 次の方法は、賃金支払の便宜上の取扱いと認められるから、法第24条違反としては取り扱わない。なお、これらの方法をとる場合には、就業規則の定めに基づき行うよう指導されたい。

(一) 1か月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した額。以下同じ。)に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払うこと。

(二) 1か月の賃金支払額に生じた1000円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うこと。

更新日:2024年01月17日
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