労務管理事例集

労基法その他労働法

年次有給休暇を半日取得した従業員が、定時を超えて勤務した場合の賃金の支払いはどうなりますか。

労働基準法で法定労働時間は1日8時間と定められており、1日の実労働時間を通算して、この法定労働時間を超えないときは、割増賃金の支払いは不要ですが、当初の終業時刻を超えた労働時間については、割増賃金のない「通常の時間単価分」の賃金の支払いは必要となります。給与種別(例えば日給月給、日給や時給など)が異なったとしてもこの取扱いは同じです。

例)所定労働時間8:00~17:00(午前8:00~12:00、午後13:00~17:00)

  午前有休を取得後、19:00まで勤務した場合

  →実労働時間は「13:00~19:00」の6時間のため、割増賃金の支払いはなし

   「17:00~19:00」の2時間分の通常の時間単価分の賃金の支払いを行う

2019年1月15日 社会保険労務士 杉山 定広

【労働基準法第37条第1項】

使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。


※労働基準法に定める労働時間規制は、実労働時間主義をとる旨を明らかにした通達

【昭29.12.1 基収6143、昭63.3.14 基発150、平11.3.31 基発168】

法第32条又は第40条に定める労働時間は実労働時間をいうものであり、時間外労働について法第36条第1項に基く協定及び法第37条に基く割増賃金の支払を要するのは、右の実労働時間を超えて労働させる場合に限るものである。従って、例えば労働者が遅刻をした場合その時間だけ通常の就業時刻を繰り下げて労働させる場合には、1日の実労働時間を通算すれば法第32条又は第40条の労働時間を超えないときは、法第36条第1項に基く協定及び法第37条に基く割増賃金支払の必要はない。

更新日:2019年01月15日
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